2017年以降のアイテム詳細

(1)1/350小艦艇シリーズ・ボスパー72フィート6インチ型 MTB73仕様

最初にやろうと思ったのが1/350の小艦艇(魚雷艇)です。その第一弾がボスパー72フィート6インチ型です。
浪漫工房は今まで1/700の駆逐艦、ミニスケール(1/76か1/72)AFVの改造パーツを販売してきましたので、
1/350の魚雷艇(フルハル)というのは初めてのジャンルです。
無発泡ウレタンレジン素材(ホワイトをグレーに色付け)の常圧注型(手流し)・アンダーゲート方式による製品です。

ボスパー製品写真

このジャンルをやろうと思った理由は、元々魚雷艇(特に英国魚雷艇)というアイテムに興味があった事、
浪漫工房を再開するにあたって、改造パーツではなく基本それだけで完成するアイテムをやりたかった事、
本当はもう少し大きなスケール、例えば1/144くらいでやりたいのですが、シリコン型の大きさや自分の
スキル等を考えて、1/350の魚雷艇と言うのが手のひらに収まる丁度良いサイズでやろうと思った事などです。
なお、1/350のこのボスパー艇は英国のホワイトエンサインモデルから既にレジンキットが発売されてますが、
日本には未入荷で直接の海外通販でしか入手不能な事、エッチングパーツの占める量が多くて、その工作
スキルが要求される事、等の理由から、このアイテムバッティングは気にしない事にしました。

この型は、「Vosper MTBs in action」誌などでは「ボスパー70フィート型・1940年型」と分類されているようです。
昔の資料、例えばサンケイ第二次世界大戦ブックス39「高速魚雷艇」では、「ボスパー2型」として
分類されているようです。
1/700スカイウェーブシリーズの「高速魚雷艇」では、「ボスパーII型」として分類されています。

このような分類の違いの出た理由ははっきりしませんが、ボスパーの1939年型といわれる型が全長21.3メートル
だったのでざっくりと「70フィート型」としたのですが、その後の1940年型の後期型、MTB73から全長が若干
延長され22.1メートル(72フィート6インチ)になったのでここから「ボスパーII型」とした分類が現れた、
という事ではないかと思います。
若干ややこしいのは70フィート型のうち何隻か、ルーマニア向けの艇は平甲板型なので他との外見上の差異が
分かり易いのですが、前甲板が一段上がっている型は全長が21.3メートルのものも22.1メートルのものも殆ど
外見上の大きな差がない、という事です。

なお、この70フィート型の、前甲板が平甲板になっている型を次回アイテムにする予定です(2017年2月現在)。

再度、第二次世界大戦直前から大戦にかけてのボスパー艇の歴史を、ボスパー艇の現在最も入手し易い
と思われる洋書資料、「Vosper MTBs in action」の記述を基にして纏めてみたいと思います。

ボスパーインアクション表紙写真

まず、1937年に英海軍はBPB社に魚雷艇を発注し、何隻かを採用したのですが、競争精神に目覚めた
ボスパー社が自主的に新しい魚雷艇を設計し試作して英海軍に売り込みました。英海軍はこれを採用しま
したが、これがMTB102となりました。この艇は直接の敵艦隊の攻撃作戦には参加しなかったようですが、
ダンケルク撤退時の英艦隊の艦隊指揮艇としてや、1944年のノルマンジー上陸時のチャーチルやアイゼン
ハワー等の指揮官、要人輸送艇として使われ活躍し、戦後まで生き残り、その後所有者が個人等になって
現在まで稼働状態で保存されている記念的な艇となっています。
なお映画「鷲は舞い降りた」でも使われています。
保存艇MTB102のページ

次に開発されたのはMTB103ですが、1938年に発注され1939年には艇体は完成していたのですが
エンジン選定に長引き、完成したのが1941年になりました。しかし、全長が70フィートとMTB102より
拡大され、操舵室位置等の全体のレイアウトはその後のボスパー艇の基本になるものとなりました。
しかし魚雷艇として使われる事はなく、標的曳航艇としてリデザインされて第二次大戦を生き残り
ました。
MTB103は資料が少なく、このin action誌に小さな側面図が載っている以外はネットで調べても
写真が1枚見つかっただけでした。

次に開発されたのはボスパー社の8264デザインと呼ばれるもの(後に8663デザインと名称変更)で、
これも全長は70フィートで、やはり1938年から開発されました。MTB番号は20から23までと29と30で、
数としては6隻となりました。

▼ボスパー70フィート型 平甲板型 MTB20初期仕様 簡易図(以下の図はあくまで簡易図なので寸法は合っていません)
ボスパーMTB20側面図

この6隻と後の型の外観上の大きな違いは上甲板が平甲板になっている事です。なお、そのうちMTB20と21と、
23の3隻は英国とドイツの開戦前にルーマニアに引き渡されました。
その後の1940年に開発されたMTB31から後の型は、MTB69と70を例外として全体形が一新され、MTB379以降の、
全長が73フィートとなる型までは基本的に上甲板の前方の部分が若干上に段になっています。
参考ページ→WW2SHIPS.COMのボスパー艇ページ

それらの型のうちのまず第一陣がMTB31からMTB40までの10隻で、ハルスコットエンジンを搭載していました。

▼ボスパー70フィート型 段付き甲板型 MTB31初期仕様MTB32 簡易図
ボスパーMTB32側面図

このタイプのボスパー艇の資料には、有名な「Warship Profile」シリーズのNo.7、「HM MTB/Vosper 70ft」が
あり、これにはMTB66のカラー2面図も付いています。現在絶版ですが、海外のサイトで全てのページが
見られるwebサイトもあるので検索されてみると良いと思います(正式なものかどうか不明)。
ただし、Warship Profileシリーズは出版時期が非常に古いので、この2面図、特に配色はかなり
正確性が疑わしいと思われます。
なお、ピットロード社製(旧グリーンマックス社製)1/700ボスパーII、ホワイトエンザイン社の1/350MTB57は
この資料をかなり元にしているようです。

ボスパー艇は当初、イタリア製のエンジンを搭載していましたが、イタリアの参戦によってこれらが
入手しにくくなりました。このへんのいきさつはサンケイ第二次大戦ブックスVol.39「高速魚雷艇」に
詳しく載っています。

次の第二陣がMTB73から、同じ段付き甲板型ながら全長が72フィート6インチに延長された型が開発されました。
基本的な形状はMTB31〜MTB40と同じですが(恐らく)尾部が2フィート6インチ(約0.8メートル)延長されています。
これが今回、当「浪漫工房」で発売した型です。

▼ボスパー72フィート6インチ型 段付き甲板型 MTB73仕様 簡易図
ボスパーMTB73側面図

▼本キットを製作・塗装したものです。基本的にキットの部品のみの製作です。

ボスパーMTB73完成写真1

ボスパーMTB73完成写真2

ボスパーMTB73完成写真3

このページの記述は今後、随時編集してゆく予定です(2017年5月現在)。

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